プラスチック加工に用いられる真空成形は、連続型と単発型がそれぞれ存在します。オーダーされる製品の個数に応じて成形方法が異なりますが、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。ここでは真空成形の連続型・単発型について解説します。
連続真空成形とは、熱成形を連続して行うことで量産を可能にした方法です。ロール状に巻かれた原材料をのばし、加熱によって加工しやすい状態に軟化させてから金型へ密着させて、空気を抜きながら真空状態にして成形します。
製品の事例としては部品のトレー・刃物や模型など大量生産製品の外装部分・ゼリーや卵、おにぎりを覆う食品パック・ブリスターパック・精密部品用のトレーなどが挙げられます。
金型に合わせて形作ったあとは、離型・カッティング・取り出し・抜きまでの工程を一貫して行うことができるため、工期を短縮して金型への投資を比較的低コストに抑えられる点がメリットです。
単発真空成形とは、熱成形を単発で行う成形方法です。大量生産ではなく多品種・小ロット向けの成形方法として知られています。
製品の事例としては自動車などの内外装・バスタブ・医療機器や住宅設備といった大型の製品・アミューズメント機器・パソコン製品・福祉機器など、中型から大型の製品に用いられます。
原材料をのばしながら加熱し、熱によって軟化させます。その後、プラスチックシートに型を押さえつけて、シートと型の間の空気を吸引しながら型に密着させていきます。デザインや設計に変更が生じても比較的修正がききやすく、大型製品のコストを低く抑えやすい点がメリットです。
連続型と単発型の違いについて、製品の材料の違い・成形に使われる型の材料の違い・成形方法の違いをそれぞれ確認しましょう。
連続真空成形はPVC(ポリ塩化ビニル)・PET(ポリエチレンテレフタラート)・PP(ポリプロピレン)・PS(ポリスチレン樹脂)が用いられます。
単発真空成形はPVC(ポリ塩化ビニル)・PET(ポリエチレンテレフタラート)・PP(ポリプロピレン)・PS(ポリスチレン樹脂)に加えて、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの合成樹脂)・アクリルが用いられます。
どちらも試作品や小ロットでは木材型・石膏型・ケミカルウッドなどを使った樹脂型・エポキシ樹脂型が使用されています。金属型としては鉄・アルミニウム合金・亜鉛合金・砲金が素材として使用されています。
樹脂型は強度が高いため仕上がりが良い傾向にあり、木材型は安価な製造が可能です。石膏型は試作品や少量生産多品種に適した素材です。
中ロット以上の場合、連続真空成形では強度のあるアルミニウムが用いられますが、単発真空成形の場合はエポキシ樹脂も使用されています。
真空成形は材料の加熱・成形と冷却・固化と離型という3段階に分けて行われますが、連続型の場合は離型のあとの取り出しや抜きまでが行えるため、大量生産に適しているという点で単発型と違いがあります。
どちらの成形方法とも肉薄成形が可能ですが、単発型は小ロットに対応し連続型は量産にそれぞれ対応しているため、肉薄成形でも中型以上のものは単発型に、中型より小さな製品は連続型を選んで、コストの点から製造方法を選択することが可能です。
小型の製品ほど量産に対応している連続型が適していますが、製造個数の少ない小ロットであれば、素材の選択肢が多い単発真空成形のほうが適している場合があります。
小ロット生産や短納期の試作対応などは当たり前にどの会社も対応しています。そのため、ここでは品質を担保するISO9001を取得し、安定して生産し続けられる自社工場を持つメーカーの中から、製造物別におすすめの会社を紹介します。
選定理由
Googleにて「真空成型トレー」「真空成型」「工業用トレー」で検索し、真空成形関連の商品取扱が確認できた会社を調査。ISO9001取得・自社工場保持の31社の中から、下記より製造物別に各社を紹介しております。(調査情報はすべて2022年2月1日調査時点)
※工業用の薄物トレー/サイデック:工業用の部品搬送トレー納入実績が確認できた工場拠点数最多のメーカー(http://www.sydek.co.jp/)
※医療用の薄物トレー/柏木モールド:医療用トレーの納入実績が確認できた医療機器製造業許可取得しパーティクル管理導入している唯一のメーカー(https://www.ksmold.co.jp/outline/)
※工業医療の厚物トレー/植木プラスチック:厚物トレーの納入実績が確認できた24時間稼働の最大10mm板成形に対応している最厚のメーカー(https://www.uepura.com/)