真空成形におけるTOM工法

プラスチックを加熱して金型に密着させる真空成形は、低コストかつ多様な形状を生み出せる工法として多くの産業で活用されています。そのなかでも、より高度な加飾や質感表現を可能にしたのが「TOM工法」と呼ばれる技術です。TOM工法は従来の真空成形では実現できなかった複雑なデザインや高機能表面加工を可能にし、自動車産業をはじめとする幅広い分野で注目されています。本記事ではTOM工法の仕組み、使用される表皮材、メリットについて総合的に解説します。

真空成形におけるTOM工法とは?

フィルムを密着させて加飾・成形を一度に行う加工方法

TOM工法(Three dimension Overlay Method)とは、三次元形状の表面にフィルムを密着させ、同時に成形と加飾を実現する技術です。通常の真空成形が「シートを加熱 → 金型に吸着 → 成形」という工程で進むのに対し、TOM工法ではまずフィルムを加熱し柔らかくした状態で凹型金型に密着させます。その後、フィルム裏面に樹脂を充填し、成形品とフィルムを一体化させることで高意匠性の製品が出来上がります。

この工法が優れているのは、「フィルムの質感・色柄・機能性」をそのまま立体形状に転写できる点です。木目柄、メタリック、レザー調、カーボン調など多様な模様を再現できるほか、フィルムに触れたときの手触り(マット感・光沢感・凹凸テクスチャ)もそのまま表面に残ります。

TOM工法はプラスチック表面に直接塗装する必要がなく、有害物質を含む溶剤系塗料を使わずに加飾できるため、環境負荷を低減できる工法としても注目されています。

幅広い用途に使われる高度な3D加飾技術

自動車の内装・外装部品ではTOM工法の採用が進んでおり、インパネ、ドアパネル、コンソール部分、ピラー加飾など、曲面の多いパーツの加飾に適しています。また、家電製品や電子デバイスの外装、鉄道車両・航空機内装など大型で曲面の多い製品にも応用されます。

さらに、TOM工法の派生技術として、フィルムを剥離させて印刷図柄を転写する応用例や、抗菌・防汚・耐擦傷などの機能性を付与したフィルムを用いて製品性能を向上させるケースも増えています。建材業界では、木材に見える高級化粧パネルや耐候性を持つ外装材の製造にも利用されており、加工性と意匠性の両立が求められる場面で幅広く採用されています。

多品種量産やコスト削減に適した工法

TOM工法は金型コストが比較的低く、特に試作段階や多品種少量生産に適しています。フィルム加飾を活用することで、複雑な塗装やめっき工程を省くことができ、生産コストの削減や製造リードタイムの短縮につながります。

また、小物製品のTOM工法では多数個取りが可能なため、1回の成形で複数個の製品を生産できます。生産効率が高く、コストパフォーマンスにも優れています。加飾済みフィルムを使用するため、ロットごとに色・柄の変更が容易で、小ロット多デザイン展開にも向いています。

フィルムの長所を活かした高度な加飾が可能

フィルムは印刷では再現が難しい微細パターンや高輝度の金属調デザインなども作りやすく、選択するフィルムによって製品特性を大きく変えることができます。耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れたフィルムを選べば、屋外用途や工業用途にも対応可能です。

塗装工程では困難なグラデーション柄、複雑な模様の色分け、繊細なテクスチャ表現もフィルムなら容易に実現でき、加飾の自由度が大幅に高まります。そのため、近年では塗装やめっきの代替工法として期待され、“環境負荷低減型の高意匠技術”として注目されています。

真空成形のTOM工法に使用される表皮材

3種類の複合材で構成される高機能表皮材

TOM工法に使われる表皮材は、以下の3層構造から成る高度な複合材です。

  • 表皮フィルム:製品の外観を左右する最表面の素材。木目調、金属調、レザー調など多彩なデザインを表現可能。
  • 中間加飾層:色柄・模様・質感を持たせるための層。印刷やエンボス処理などで作られ、意匠性の核となる部分。
  • 裏面接着剤:フィルムを基材にしっかり固定する接着層で、耐熱性・耐湿性・耐久性が求められる。

この複合材は、貼合方式・転写方式・昇華方式といった複数の加工方法を選べるため、目的や製品性能に応じて最適な方法を選択できます。フィルムごとに特性が異なるため、成形品の使用用途(車内・屋外・高温環境など)に合わせて適切な材質を選ぶことが不可欠です。

TOM工法の表皮材は高い技術を必要とし、フィルムメーカー・樹脂メーカー・成形メーカーの連携によって開発されています。現在では複数メーカーが加飾フィルム開発に取り組んでおり、より高意匠・高耐久な表皮材が次々と登場しています。

真空成形の基礎知識も確認しよう

TOM工法は、真空成形の利点である「低コスト」「自由度の高さ」「立体形状への対応力」を活かしつつ、フィルム加飾によって従来では実現しにくかった高意匠・高機能の加工を可能にした技術です。自動車、家電、建材、産業用装置など、多くの分野で採用が広がっています。

当サイトでは、真空成形の基本構造や工程、他の成形方法との違い、さまざまな用途に応じた加工技術などを詳しく紹介しています。加工方法を比較しながら最適な成形方法を選びたい方は、ぜひ以下のページも参考にしてください。

包装用トレーで使用される
真空成形の基礎知識

真空成型トレーメーカーのおすすめ3選を紹介
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トレーメーカー3選

小ロット生産や短納期の試作対応などは当たり前にどの会社も対応しています。そのため、ここでは品質を担保するISO9001を取得し、安定して生産し続けられる自社工場を持つメーカーの中から、製造物別におすすめの会社を紹介します。

工業用の部品トレー
を依頼したいなら
ジャパン・プラス
ジャパン・プラス
引用元:ジャパン・プラス公式HP
https://www.j-p.co.jp/products/buhintray/
  • 約200種類※1の部品用規格トレーを用意。特注不要で様々なトレーを提供でき、コスト削減に貢献。
  • 工業部品企業む453社※2との取引実績から、複雑な形の工業部品の保護に適したトレー提案・成型が可能。内容物の破損・不良を防ぐ。
例えば…
車載部品搬送用トレー
電子部品搬送用トレー
など

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03-3912-5131
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医療用の薄物トレー
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柏木モールド
柏木モールド
引用元:株式会社柏木モールド公式HP
https://www.ksmold.co.jp/product/medical_care/手術器具キットトレイ/
  • 高度管理医療対応のクラス3クリーンルーム※3と噴霧器による調湿ダスト対策で衛生な製造環境
  • 医療機器のトレーへ充填から包装までを工場内で一括対応。クリーンな環境でパッケージング作業までを完結できる
例えば…
医療用トレー
化粧品ブリスター
など

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0745-79-5221
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食品用の耐熱トレー
を依頼したいなら
エフピコ
エフピコ
引用元:株式会社エフピコ
https://www.fpco.jp/product/feature_function.html
  • 冷凍からレンジ加熱まで可能な-40℃~+110℃の耐寒・耐熱性能。加熱後の外側が熱くなりにくい安全容器
  • 寿司容器を従来素材の約60%軽量化※4する日本初※5の低発泡化(軽量化)容器の成型技術
例えば…
食品用トレー
など

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問い合わせる

03-5320-0717
電話で問い合わせる

※1※2 2024年10月調査時点。参照元:ジャパン・プラス公式HP(https://www.j-p.co.jp/products/buhintray/
※3 参照元:柏木モールド公式HP(https://www.ksmold.co.jp/advantage/environment/
※4 参照元:エフピコ公式HP(https://www.fpco.jp/product/sd.html
※5 参照元:エフピコ公式HP[PDF](https://www.fpco.jp/dcms_media/other/press_keieikikaku_20231030_4.pdf

業界・用途に合わせて選ぶ! おすすめ真空成形トレーメーカー