プラスチックを加熱し、金型に密着させて形作る真空成形では、TOM工法と呼ばれる方法によって多様なデザインや形状への加工が可能になりました。本記事ではTOM工法について詳しく解説します。
TOM工法とは、「3次元表面被覆工法(Three dimension Overlay Method)」という意味をもち、フィルムによる被覆処理を活用した加工方法です。
プラスチックではなくフィルムを加熱させて軟らかくし、凹型の金型を軟化させたフィルムで覆って真空状態を作ります。そのままフィルムを金型に密着させ、凹型に樹脂を充填して一体化させます。
主な使用用途としては建材の化粧フィルム、自動車の内装や外装、鉄道車両や航空機の内装、家電・デバイス・曲面ガラスなどに用いられています。フィルムと基材を一体化させるだけではなく、フィルムを後から剥がして図柄や絵柄を転写する加工にも応用可能です。
TOM工法は、自動車業界における自動車部品の内装・外装に多く用いられていますが、車の部品に限らず3次元の大型製品に幅広く対応できます。金型の製作コストが安いため試作コストが抑えられ、多品種の生産にも適しています。小物製品の場合は多数個取りが行えるため、量産性にもすぐれた方法です。
TOM工法はフィルムを直接貼り付けて成形するため、塗装の工程では部分ごとに色分けや柄分けが行えます。貼り付けたフィルムの手触り感がそのまま残る点もメリットのひとつです。
デザインのバリエーションが出しやすく、さらにフィルムのもつ特性が活かせるため、有害物質を含む塗料やめっきの代替工法になると期待されています。耐熱性・耐候性・耐薬品性などを有するフィルムを塗装に使用することで、製品の質を改善したり機能を向上させたりといったcore工法の一種になると考えられています。
TOM工法に用いられる表皮材は、表皮フィルム・中間加飾層・裏面接着剤の3種類によって構成されている複合材です。
表皮フィルムはもっとも外側の部分であり、その次に加飾層が色柄を表現します。もっとも内側に接着剤が広がっており、フィルム・加飾層と一体に接着します。貼合方式、転写方式、昇華方式と3つの仕上げが行えます。
この材料は単独で3種類の技術が必要となるため、高い技術力が必要とされてきました。現在では複数のメーカーが協業し、すぐれた表皮材がTOM工法に用いられています。
真空成形は色のバリエーションを出しやすく、立体形状の製品に対して安価に成形が行える方法です。なかでもTOM工法は近年の高い技術力によって、3つの異なる特徴を重ね合わせたフィルムを活用し、さまざまな産業分野・製品に利用されています。
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※1※2 2024年10月調査時点。参照元:ジャパン・プラス公式HP(https://www.j-p.co.jp/products/buhintray/)
※3 参照元:柏木モールド公式HP(https://www.ksmold.co.jp/advantage/environment/)
※4 参照元:エフピコ公式HP(https://www.fpco.jp/product/sd.html)
※5 参照元:エフピコ公式HP[PDF](https://www.fpco.jp/dcms_media/other/press_keieikikaku_20231030_4.pdf)