本記事では、真空成形における抜き勾配の概要と、抜き勾配の必要性などについて詳しく解説しています。
真空成形におけるにおける「抜き勾配」とは、金型からスムーズに成形品を離型させるために必要な「傾斜」のことです。成形品を金型から取り出すときに、傾斜をつけることで成形品が取り出しやすくなります。ゼリーやプリンなどのカップも、傾斜がついていることを考えるとわかりやすいです。傾斜がないまっすぐな状態だと、プリンやゼリーも型から取り外しにくいですが、傾斜をつけることで型からきれいに取り外すことができます。
抜き勾配に必要な傾斜は、成形品の形状などによって変わってきますが、1度から2度ほどの傾斜をつけることが一般的です。成形品の設計によっては抜き勾配を作りたくない場合もありますが、それでも0.5度ほどの抜き勾配が必要とされています。抜き勾配の付け方は、下面を基準にする場合と上面の寸法を維持する設計にする場合がありますが、上面の寸法を維持して傾斜をつけるのが一般的です。
ちなみに、表面が粗い材料で真空成形を行う場合や、シボ加工を施した材料で真空成形を行う場合は、ほかの材料で真空成形を行うよりも金型から抜けにくいです。そのため、抜き勾配の傾斜角度を大きくする必要があります。3度以上の抜き勾配をつくることが望ましいとされています。
真空成形で抜き勾配をつくることが必要な理由として、ひとつは「冷却時に成形品が収縮する際の対処」が挙げられます。真空成形を離型する際には、シートを加熱して柔らかくしています。その後冷却させて固めた状態から離型するのですが、樹脂が固くなるときに金型を締め付けてしまうことがあります。金型が締め付けられると離型しにくくなってしまうため、抜き勾配をつけて理系しやすくするのです。
次に、「真空成形による成形品と金型の密着に対処する」ことも、抜き勾配をつける理由として挙げられます。真空成形では、製品と型を真空状態にして密着させています。離型する際に大気によって金型が締め付けられるため、抜き勾配をつけていないとやはり取り出しにくくなってしまうのです。抜き勾配をつけることで、空気の出口がつくられて成形品が取り出しやすくなります。
さらに、逆テーパー形状の真空成形でも、抜き勾配が必要です。真空成形ではましたに型を引き抜くため、離型時に平行四辺形の成形品だと、金型と成形品が密着して取り出すことができません。その対策として離型時にクランプを外すことで取り外しが可能となりますが、このとき左右の壁に抜き勾配をつくる必要があります。
真空成形において、特殊な抜き勾配を必要とするケースがあります。ひとつは、設計の関係から抜き勾配を作りたくない場合です。先述した通り、通常真空シエ系では1度以上の抜き勾配をつけないと金型から外すことができません。しかし、設計やほかの部品との兼ね合いなどで、抜き勾配をつけたくない場合、勘合部には抜き勾配をつけず、ほかの部分に抜き勾配をつけることで対策を行います。どの部分まで抜き勾配をつけなくても大丈夫であるかはサイズや形状によって異なります。
次に、逆テーパー形状の場合も対策が必要です。真空成形では真下に型を引き抜いて成形品を取り出すため、離型時に平行四辺形だと成形品を取り出すことができません。この場合は、離型時にクランプを外すことで成形品が滑り落ち、この場合も、左右の壁にできる抜き勾配は1〜2度必要です。
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